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オープンイノベーションとは ~2020年度版~ ③

本稿では、大手事業会社がオープンイノベーションを推進する際の具体的な手法や使い分けについて、「テクノロジースカウティング」「アイディエーション」「スタートアップとの共創「自社技術の用途探索」の4つのカテゴリ毎に紹介したいと思います。カオスマップと合わせて参考にしていただければ幸いです。

2-2 ツール・手法としてのオープンイノベーション

・テクノロジースカウティング

「アウトサイドイン」型オープンイノベーションの典型例が、外部技術の獲得を目的とした、テクノロジースカウティングや技術マッチングプログラムの実施です。世界中のスタートアップや大学・研究機関から、自社が抱えるギャップを埋めるためのベストな技術、研究スキルを取り込むことで自社のR&D活動や新規事業活動を推進します。多くのケースでは対象組織への出資は伴いませんが、近年のスタートアップが必ずしも資金を求めているわけではないことに着目し、むしろ大手事業会社が持つ商流の開放や、シード期のスタートアップの成長にとって必要不可欠な「初期の顧客」になることを提供価値とする活動(例えばBMW社のVenture Clientユーザベースグループの活動)なども近年知られるようになってきています。

グローバル技術マッチングでは弊社ナインシグマの他、yet2社、Innocentive社がオープンイノベーション勃興期からの仲介者として知られています。国内技術マッチングではリンカーズ社や経済産業省所管組織が運営するJ-GoodTechなどが利用されています。また近年では技術のニーズ開示側とシーズ開示側がウェブプラットフォーム上で情報を交換可能なソーシャルネットワークサービス型の技術マッチングも立ち上がっており、パーソルイノベーション社などによって提供されています。

 

・アイディエーション

新規事業創出のためのアイデア出しや自社が抱える技術課題のソリューション、技術シーズの新規用途を生み出すなど、様々な目的で実施されます。日本ではあまり普及が進んでいませんが、アイデア出しやアイデア収集を効率良くマネジメントするためのソフトウェア(例えばQmarket社やHype社など)も欧米では活用されています。

社外から幅広くアイデアを集める手法としては「イノベーション・コンテスト」が知られています。
革新的な技術開発テーマや社会課題テーマを対象に、アイデアの取り扱い方法、アイデア収集の責任者および応募者へのメリットを明確にすることで質の高いアイデアを多数集めることが可能です。また、自社が当該テーマに対して本気であることを世界中に発信することにもつながります。ナインシグマが提供するマルチスポンサー型コンテストにおいては、役割の異なる同業種や異業種企業が参加することで直接的な競争関係を回避しつつ、自社だけでは気づけないチャンスやリスクを見出すことができるといったメリットがあります。

持続可能な開発目標(SDGs)や社会的課題の解決を通じた新規事業のアイデア創出、ビジョン策定のためには、「フューチャー・セッション」という手法があります。フューチャー・セッションにおいては、未来に向けた問いを設定し、多様な立場の参加者が対話をすることで新たなアイデアを生み出します。ワールド・カフェやシナリオ・プランニングなどの様々なディスカッション手法の中から目的、参加者に合わせた適切な手法を組み合わせることでアイデア創出効果を高めます。国内ではフューチャー・セッションズ社がサービスを提供している他、多くの企業で独自に実施されています。

 

・自社技術の用途探索

インサイドアウト型オープンイノベーションとして、自社が保有する技術の新規用途探索や市場調査を行うことが可能な、専門家やアドバイザリーへのアンケート、インタビューを行うための専門家・アドバイザリープラットフォームを活用する企業が増えています。世界中の多種多様なスペシャリストへスピーディーにアクセスできることがメリットとなります。国内ではビザスク社が専門家へのインタビューサービスを提供しています。ナインシグマにおいては、グローバル企業のマネージャー層のBtoBの生の声を素早く収集するOIカウンシルというプログラムを提供しています。

 

・スタートアップとの共創

自社コア事業の周辺領域や新規参入を目指す領域、地域のシード期スタートアップに対して、事業環境・メンターシップの提供ないし金援助によりスタートアップのビジネス拡大を支援することで、スタートアップの新規性、実行力などを自社新規事業へつなげることを目的としています。投資事業会社本体へのリスクを管理できるため、新規事業立ち上げの際には重要な手法となります。
具体的なプログラムとしては、アイデア段階のチームやシード期のスタートアップの支援を主目的とするインキュベータープログラムや、期間を限定してスタートアップ事業を加速させることを主目的とするアクセラレータ・プログラムが存在します。国内ではゼロワンブースター社やCreww社などによってコーポレート・アクセラレータ支援プログラムが提供されています。

成長ステージのより進んだスタートアップに対してより踏み込んだ支援や事業領域での協業、または投資リターンなどを目的としてベンチャー投資を実施する事業会社も近年は増えています。投資スキームは様々な形がありますが、自社でCVCを立ち上げるか、VCに委託する形の大きく2つがあります。国内では、プラグアンドプレイ社、500スタートアップ社などがコーポレートベンチャーキャピタル支援プログラムを提供している他、独立系ベンチャーキャピタルと提携する企業も見られます。

アフターコロナ時代にはこれまでと異なるバリューチェーン必要となる分野が多く発生することから、オープンイノベーション活動の目的の違いを理解しながら適切に使い分けていくことが今後ますます重要になるでしょう。

 

山本 洋
東芝セミコンダクタ&ストレージ社(現キオクシア社)を経て、ナインシグマ参画。ナインシグマにて、モビリティ、電機、半導体、材料、食品分野などのオープンイノベーション支援、コンサルティングを提供するとともに、オープンイノベーションを活用した新規事業開発・顧客開拓コンサルティングプロジェクトを担当。これまでに 携わったオープンイノベーション支援プロジェクトは延べ 130 件以上。