2020年4月28日
ナインシグマ・アジアパシフィック株式会社
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威をふるい、経済活動正常化には2年以上の期間が必要になるのではとの予測も見られる中、企業活動は大きな変曲点を迎えています。遅々として進まなかったデジタルトランスフォーメーションが一気に進むポジティブな変革も予測されていますが、業務が思うように進まず不安や焦りを感じてらっしゃる方も多いかと思います。
そこでナインシグマでは、OI Council (グローバル企業のマネージャー層が集うコミュニティ)に対して、COVID-19が研究開発に及ぼす影響とグローバル企業の取り組みに関する調査を実施し、「世界中」の「企業において技術系職種に従事している」「100名以上」の方から回答を得ました。この調査結果は、ヨーロッパや北米などの(日本よりも状況が深刻な状況にある)他業界・他社がどのような状況か、またどのような取り組みを予定・実施しているか等を「トレンド」としてご覧いただけることが特徴となります。本結果を、基本的に在宅で全ての業務を実施することが難しいとされる研究・開発職に従事されている皆様の次の一手の手助けに、さらには研究開発も新たなカタチへと変わる可能性がある中で、アフターコロナでのオープンイノベーションの在り方を考えるきっかけとしていただければ幸いです。
※本調査結果の深堀した内容については、オンラインセミナー での紹介を予定しています (5月以降、詳細が決まり次第アナウンスします)。また、お問い合わせ いただければ、個別に検討の支援をさせていただきます。
■調査概要
・調査方法:ナインシグマ OI Councilを活用したウェブアンケート調査
・調査対象:欧米をメインとしたグローバル企業のマネージャー層
・回答数:118名(回答者の属性は図1を参照)
・質問項目:
-Q1. COVID-19が研究開発活動へどの程度影響を及ぼしているか?
-Q2. 研究開発活動のどのような点に影響が出ているか?
-Q3. 特に大きな影響や問題に関する具体的な内容
-Q4. 研究開発上の課題 (Q2) を解決するための取り組み内容
-Q5. アフターコロナに向けた取り組みの進捗状況は?
-Q6. COVID-19の影響により、重要性が増したサービスは?
-Q7. 上記の理由とオープンイノベーションの観点で重要な施策は?
■調査結果
・回答者属性
Airbus, Becton, Dickinson and Company, DuPont, Enel, ICL, Intel Corporation, IQVIA, Nestlé, Nokia Bell Labs, Novartis, Philips, Robert Bosch, Thermo Fisher Scientific など117社に所属している研究者、技術者
・現在の業務状況並びに業務課題等
・アフターコロナに関する取り組み状況
・COVID-19の影響を受けて求められているサービス
■調査結果サマリー
COVID-19の影響は研究開発活動に留まらず、原料部品の納期遅延など企業活動全体にまで多大な影響を及ぼしていることが改めて明らかになりました。この影響は従来の企業活動の在り方を再定義するほどのインパクトを各企業に与えていると推測され、実際、足元の懸念や課題を解決する取り組みと並行して、約80%の企業・組織においてアフターコロナを見据えた検討・取り組みが開始されています。外部組織との戦略的な協働を意味するオープンイノベーションの観点では、対面での協働が難しくなっている今、バーチャルなネットワークに対する期待が更に高まっています。
■個別アンケート結果考察
・新型コロナウイルスの影響は研究開発に留まらず、企業活動全体に及ぶ (Q1-3)
90%以上の方が通常通りの業務ができていないと回答しており(図2)、インターナルの研究開発、社外との協業の双方に大きな影響が生じていることがうかがえました(図3)。
– 実験作業への障害 44%(研究室設備へのアクセスの遮断、資材・材料の使用制限)
– 社内プロセスへの障害 27% (予算執行の遅延、意思決定機能不全)
-外部パートナーとの協業の遅延 26%
自由記述式アンケートでも、回答者から上記3点に関するコメントが多く寄せられましたが、足元の課題だけではなく「新たなビジネスモデルなども含めてアフターコロナを見据えた方法を模索している」というコメントも見られました(表4)。これは、COVID-19による影響が、研究開発に留まらず企業活動や消費者動向・嗜好なども含めた周辺環境全てを一新してしまうくらいのインパクトを与えるものになると考えられていることが分かります。また、「社内研修などのトレーニングの欠如」や「コミュニケーション方法の変化による人間関係の悪化」等の懸念が挙げられており、この点を解消するツールや評価システムの構築に対する需要が高まる可能性があります。
・コロナを乗り切り、アフターコロナで成長を実現するための取り組みが進められている (Q4-6)
前半では、現時点で生じている課題を取りまとめましたが、その課題解決に向けた取り組みと並行し、アフターコロナへの準備も進められています。
実験作業など実際に場所へ出向き手を動かすことへ制限が生じていることを逆手に取り、普段できないことに取り組んでいるというコメントが寄せられました(表4,表5-2)。例えば、ブレストに普段以上に時間を割く、将来の計画やフォーマット作成など、平時では十分な時間を確保しづらかったことに注力するなどです。
また、回答者の約80%の方がアフターコロナを見据え議論を始めている、もしくは既に取り組みを進めていると回答しています。このことは約80%の方が、COVID-19終息後も働き方や外部組織との付き合い方はCOVID-19を機に変化したままの状態が継続するであろうと考えており、その変化に対応するための準備を進めていると考えられます (図5-1, 表5-2)。これは、従来の社会システムの中で最適化されていた仕組みやリソースを新たな環境に適用する形に転換していく試みであり、その過程では既存と新規の共存・バランスをとりながら進めることが求められると考えられます。困難が予測される取り組みではありますが、日々刻々と変わる情報を確実にとらえること、外部ネットワークを柔軟に活用することにより、この荒波を上手く乗り越えることができるのではないでしょうか。
・オンラインのゆるやかなネットワークをレバレッジしたオープンイノベーションの機会を最大限に活用する(Q7)
上記の通り、今後バーチャルに、ゆるやかかつ多様なつながりをレバレッジする活動に切り替えていく必要があります。これは、フィジカルな空間での取り組みに大きな制限が生じている現状では必須の考え方です。
Q7のコメントからも、ウェブセミナー、オンラインでの展示会や協業機会への期待が高いことが伺えます(表6-2)。一方、このような外部ネットワークを一朝一夕に構築することは極めて困難です。この点では、ナインシグマを含めた広範なネットワークを有するオープンイノベーション サービスプロバイダーが期待に応えるべき領域と思っております。例えば、本調査を実施したOI Councilはナインシグマが保有するバーチャルに海外組織とつながることができるプラットフォームであり、このプラットフォームのゆるやかかつ多様なバーチャルネットワークを利用し、オンラインでの展示会や協業機会の創出等を提供できる可能性もあります。また、OI Council以外にもナインシグマでは技術者とのゆるやかなネットワークを有しています。フィジカルな活動が抑制された状態が続くことが予測される現状において、バーチャルなネットワークを用いた新しい研究開発の進め方を一緒に考えてみませんか。
ナインシグマ・アジアパシフィック株式会社について
名 称: ナインシグマ・アジアパシフィック株式会社 (NineSigma Asia Pacific, Inc.)
代表者 : 代表取締役社長 諏訪暁彦
所在地 : 東京都千代田区内神田1-3-3 FORECAST内神田 5階
設 立 : 2006年10月
事業内容 : オープンイノベーション支援 (技術仲介業、技術コンサルティング業)
資本金 : 2,464万6,535円
ビジョン: モノづくり企業の支援を通じて、安心して幸せに暮らせる未来を築く
URL : http://www.ninesigma.co.jp/
※本調査結果の深堀した内容については、オンラインセミナー での紹介を予定しています。お問合せはこちらまで