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特徴的なオープンイノベーション事例⑧:美容分野におけるオープンイノベーション動向2

前回、美容・化粧品業界におけるパーソナライズ化の高まりにより、異業種との技術的なコラボレーションを通じたオープンイノベーションが盛んになっているという事例を紹介しました。そのような新しい美容コンセプトを実現するための技術的Gapを異業種とのコラボレーションにより埋める形式のオープンイノベーションだけでなく、従来の美容業界内の常識に囚われない「新しい美のコンセプト・アイディア」の創出が求められています。今回は、美容分野におけるコンセプト・アイディア創出に関するオープンイノベーションの取り組み事例を紹介します。

株式会社資生堂では、外部組織からの技術の取り込みを積極的に行っています。例えば2018年、米MIT発ベンチャーOlivo Laboratoriesから人工皮膚に関連した「Second Skin技術」を買収しました。また、スタートアップを始めとした外部組織とのコラボレーションの機会創出の場として、2016年にはCVCである「資生堂ベンチャーパートナーズ」、2019年には「資生堂グローバルオープンイノベーションセンター」も開設しています。加えて、オープンイノベーションプログラムfibonaも立ち上げ、スタートアップ企業等とのアクセラレーションプログラムを開始しています。

2019年には、3Dデジタルスキャニング技術を有する株式会社デジタルアルティザン、スマートフットウェアを開発の株式会社no new folk studio、尿を検査して最適な食事やサプリメントを提案するサービスを有する株式会社ユカシカドの3社とのコラボレーションを始めました。

このようにオープンイノベーションにおける最近の傾向として、美容分野に限らず、現在の自社ビジネス・自社製品に直接関係のある技術を有するパートナーとの関係構築とともに、並行して周辺技術も含めたゆるやかなネットワークの構築を目指す動きも見られます。

ナインシグマでも上記のような中長期的なパートナーシップの構築を目指した公募の支援を実施しましたので、ご紹介します。

 

①既存の美容行為を置き換え得る革新的技術・アイディア

既存の美容行為を置き換え得る革新的技術・アイディア

株式会社資生堂が、これまでの美容行為や美容習慣のあり方を変え得る革新的な技術や、技術をベースにしたサービス・アイディアを幅広く求めている。現時点で化粧品などの美容分野への適用実績がないものでも、本分野への適用可能性があるものであれば積極的に提案を歓迎する。

※募集要項の詳細:https://www.ninesigma.com/s/RFP_2018_3739

 

 

②革新的技術によりもたらされる新しいパーソナライズド美容「美容 × センシング・AI・情報提示技術」

美容 × センシング・AI・情報提示技術

電化製品を主な事業領域とする兆円規模の大手メーカーが、センシング・AI・情報提示といった先進技術との融合による新たな美容体験創出を依頼主企業と共同で取り組んでいただけるパートナーを求めている。

※募集要項の詳細:https://www.ninesigma.com/s/RFP_2019_0021

 

オープンイノベーション活用の目的の一つには、今すぐ解決したい技術ギャップを埋めていくためのパートナー探索や、課題の早期解決を目的とした活動が挙げられます。他方で、その業界の積年の課題や自社の将来的な方向性を開示し、オープンイノベーションへの積極的な取り組みをアピールすることで、未来のパートナー候補が競合含めた他社に先んじてアプローチしてくれるよう種まきを行う中長期的な活動もあります。特にグローバルメーカーでは後者を見据えて弊社サービスの一つ、Innovation Galleriesをご活用頂いております。

技術に関連した緩やかなパートナーシップ構築に興味がある、具体的な技術課題はなくともオープンイノベーション活動は始めておりぜひ対外的にアピールしたい、などオープンイノベーションに関わるみなさまのニーズは多様かと思います。

弊社ではぜひみなさまのお力になりたく、是非一度ご相談いただければ幸いです。

 

 

 

 

 

佐藤 佳邦
ナインシグマ・アジアパシフィック株式会社
東京大学工学部/大学院工学系研究科化学システム工学専攻 修了、昭和電工株式会社でのリチウムイオン電池材料開発職を経てナインシグマ入社