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特徴的なオープンイノベーション事例⑦:美容分野におけるオープンイノベーション動向1

美容業界においても、技術力をベースとした製品の開発事例が増えてきています。例えば、今年のCES(Consumer Electronics Show)ではP&G、ロレアル、Johnson&Johnson等により、AIを活用した美容のパーソナライズ化に関連した製品紹介されました。
またその製品も、従来のコスメティック・スキンケアを対象とした所謂「化粧品」に留まらず、爪、毛髪のケア、サプリメントなどの製品が美容関連製品として世に出ています。このような製品の多様化に伴い、美容製品の開発に必要な技術も従来の素材・組成開発技術に加え、デジタル・電気・機械関係の技術、あるいはより皮膚の

新製品開発に必要な技術の広域化・深化に伴い、美容業界単独で製品コンセプトに即した製品の開発は難しくなっており、これに伴い国内化粧品メーカーにおいてもオープンイノベーション活動が活発化してきています。

例えば、株式会社花王は自社が保有する積層型極薄膜形成技術(Fine Fiber Technology)の応用として、スキンケア領域での事業化を実施し、その第一弾として、バイオミメシスヴェールを発売しました。この商品は、直径1μm以下のポリマー繊維が分散された溶液を、ディフューザー(スプレー機器)を用いて肌に吹き付け薄いヴェールを形成するというもので、保湿成分などの薬剤を肌に効果的に浸透・保持させる効果が期待されています。

この製品では、ディフューザーの製品化をパナソニック・アプライアンス社が実施しました。異分野の技術を有する大手企業が協力し、新しい価値を有する製品を実現したオープンイノベーションの良い事例と言えます。

美容業界では、「新しい美のコンセプト・アイディア」は無限に出てくると想定されます。一方、そのコンセプトの実現には様々な技術ギャップを埋めていく必要があり、製品化実現・加速にはオープンイノベーションの活用が必須と言えます。

ナインシグマでもそのような事例のお手伝いをしましたので、いくつか紹介します。

スマートフォンで撮影された顔画像の解析による皮脂量・メラニン量・色素沈着・表皮ターンオーバー状態の測定技術①スマートフォンで撮影された顔画像の解析による皮脂量・メラニン量・色素沈着・表皮ターンオーバー状態の測定技術

株式会社資生堂が、スマートフォン画像を用いて顔の皮脂量・メラニン量・色素沈着・表皮ターンオーバー状態といった指標(いずれかでも構わない)を撮影画像から測定できる技術を求めている。依頼主はこのような技術はすでに開発・実用化されているものも多いと考えており、そのように実績を有する組織からの提案に期待している。

※募集要項の詳細:https://www.ninesigma.com/s/RFP_2018_3903

繊維状物質を高速に切断する革新的技術②繊維状物質を高速に切断する革新的技術

売上兆円規模の大手メーカーが、体毛をはじめとした繊維状物質を高速に切断するための革新的技術を求めている。依頼主は最終的に、次世代型の体毛用シェーバーの実現を目指しており、特に高速で体毛の切断が可能なブレードの設計技術に期待している。体毛の他、植物や炭素繊維の切断など異なる用途向けに開発された技術も含め、幅広く歓迎している。
※募集要項の詳細:https://www.ninesigma.com/s/RFP_2018_3664

爪に正確にマニキュアをのせる技術③爪に正確にマニキュアをのせる技術
北米の大手美容ブランドCoty社が、セルフネイルでマニキュア/ペディキュアを爪に正確に塗布する技術を求めている。迅速、正確かつ気軽に塗布できる技術に期待しており、美容業界以外からのアプローチに大きな関心を寄せている。
※募集要項の詳細:https://www.ninesigma.com/s/RFP_2018_3712

 

一方、近年家電業界・医薬品業界からも美容機器や化粧品関連製品への本格的な参入が目立つようになってきました。また美容の定義も多様化してきた中、従来の美容業界内が考えに留まらない「新しい美のコンセプト・アイディア」も求められています。

次回は、「新しい美のコンセプト・アイディア」に関連した取り組みを紹介します。

 

 

 

 

 

佐藤 佳邦
ナインシグマ・アジアパシフィック株式会社
東京大学工学部/大学院工学系研究科化学システム工学専攻 修了、昭和電工株式会社でのリチウムイオン電池材料開発職を経てナインシグマ入社