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近年のオープンイノベーション拠点設立事例の紹介

技術開発のスピードが速まり、技術領域の境界が曖昧になっていく中で、自社外の知をも活用するオープンイノベーションの必要性が認知されてきています。

社外との交流方法については、従来通りのお互いのオフィスを利用する他、複数の組織が利用するシェアオフィスの利用も急速に増えています。更に、技術開発や実証検証により特化したものとしては、企業の研究所内にオープンスペースを設け、オープンイノベーション拠点とする事例も多く見受けられます。このような拠点では、議論だけではなく種々の設備を有するオープンラボにより開発・検証も行うことができ、パートナー企業との開発促進が期待されています。また、一般消費者等の利用者からフィードバックを受ける場として、製品紹介や製品・試作品を利用できる場所があることもあります。
今回は、オープンイノベーション拠点の中でも、技術開発や実証検証までも目的とした自社研究所内での拠点について、近年に新設された4事例を紹介します。


日立製作所:協創の森
(2019年4月開設)
イノベーション創生を加速するための研究開発拠点「協創の森」を中央研究所内に開設。
SDGs、Society 5.0の実現に向けて、企業・大学・行政など多数のステークホルダーとのオープンな交流や協創アプローチが行われている。社外パートナーとの協創において、アイデアを事業化させる確度とスピードをアップさせる仕組みも創りあげた。提起された将来課題を受けて、アイデアの議論・創出、日立の先端技術を活用したプロトタイピングと実証をスピーディに繰り返し、イノベーションを創生する取り組みがこの施設内にビルトインされている。

 

 

IHI:IHIグループ横浜ラボ(2019年5月開設)
課題解決や新事業創出を迅速かつ効率的に行う為、横浜事業所に「IHIグループ横浜ラボ」を開所。
ラボ内には、課題やソリューションについて議論する「共創エリア」、着想をその場で設計・試作し検証する「ガレージ」、更に事業部門や顧客と共同で事業化の検証や開発を行う「プロジェクトブース」等を設置する。
ものづくり技術を中心としたエンジニアリング力を基盤に、様々なノウハウを持つ方が自由に交流を深めて新しい発想を生み出し、アイデアを具現化するオープンイノベーションを推進する。

 

 

島津製作所:ヘルスケアR&Dセンター、「KYOLABS」(2019年6月開設)
ヘルスケア事業の拡大を図る為、新開発棟「ヘルスケアR&Dセンター」を京都本社敷地内に建設。
分析計測技術と医用画像診断技術を生かした技術開発を行う。ライフサイエンス分野の深耕、高齢化社会への貢献、健康を増進させる食品開発支援等、革新的な新製品開発や課題解決ソリューションを提供することが目的。
センター内には、先進的顧客・外部研究者との協働を促進する共同研究開発ラボ「KYOLABS(キョウラボ)」を常設。コア技術や産学官連携の取組みや成果を紹介し、議論できる場でもあり、それによりオープンイノベーションを推進する。

 

 

富士通ゼネラル:イノベーション&コミュニケーションセンター(2019年7月開設)
社内外での革新的なモノづくり・価値創出を行う「イノベーション&コミュニケーションセンター(ICC)」を川崎本社敷地内に建設。
ICCは社内間シナジーを促進するためだけではなく、外部と共同してアイデア検討や試作を行える実験場「アライアンスラボ」等も設けた。発想した製品イメージを隣接の試作エリアで具現化し、より具体的で深い検討を行う。短期間でアイデアを「カタチ」にしていく。
エアコンや業務用空調システムを軸とした研究・検討において、社内外の技術や知識を融合させるオープンイノベーションを推進させる。

 

 

上記の他、この2~3年でも東ソー「カスタマーラボ棟」、シスコシステムズ「シスコイノベーションハブ」、京セラ「京セラ(中国)イノベーションセンター」、資生堂「資生堂グローバルイノベーションセンター」等、複数が挙げられるます。更に、デジタルハブともなる「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」やフードテックに関連する東京建物の「TOKYO FOOD LAB」など、展開業界の幅は広くなっています。

一方で、新型コロナの影響の為か、2020年に新設された拠点は見受けられません。社会環境が急速に変化している状況で、この様な拠点のあり方も見直されていると考えられます。しかし、ものづくり企業にとっては、研究所などで実業務を行うことは必須です。技術が高度化し、複数の技術領域での研究開発の必要生は増々高まっています。この状況で、社外との協業が素早く進められるオープンイノベーション拠点の存在意義はこれからも大きいと考えます。

弊社では、具体的な技術課題の解決に繋がるパートナー探索から新規事業テーマ創出まで、オープンイノベーションに関する幅広いサポートを行っております。オープンイノベーションについてご不明点等がありましたら、お気軽にご相談ください。