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特徴的なオープンイノベーション事例②:BtoB企業は産業構造のパラダイムシフトにどう備えるのか  ~ CASEの場合 ~

CASEという言葉をご存知でしょうか。2016年のパリモーターショーにてダイムラーのディーター・ツェッチェ社長により発表された、Connected(接続性)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス、シェアリングだけを意図することも)、Electric(電気自動車)の頭文字を取った造語です。

電気自動車の台頭など、CASEによる産業構造のパラダイムシフトは、完成車メーカーのビジネスを直撃します。その対策として、前回のコラム『自動車分野ではCASE事例が増えている』でも述べているように、完成車メーカー・Tier1などの自動車部品メーカーが、CASEに関連した技術公募によるパートナー探索(Technology Serch)を始めとするオープンイノベーションを実施する事例が年々増えてきています。

一方、自動車産業自体が完成車メーカーを筆頭としたピラミッド構造となっており、この変革は自動車メーカー・上位の自動車部品メーカーにとどまらず、多くの製造業・メーカーに影響を与えることが予測されます。

例えば、ノーベル賞で話題となったリチウムイオン電池を搭載しているEV車は、動力部のサプライヤーの顔ぶれを、従来の内燃機関のものから一変させました。主たるサプライヤーを金属加工等の自動車部品メーカーから、材料・素材メーカーへとシフトさせたのです。

これまで塗料や内装部品、軽量化素材など比較的限られた素材・部材の供給に限られていた材料・化学メーカーにとっては、このパラダイムシフトがビジネス拡大のチャンスとなる可能性もあります。

このように、一見するとチャンスが広がりそうな材料・素材メーカーですが、「ユーザー側が今後どのようなスペックの部材を求めることになるのか」が分かりづらく、未来に向けてどの分野でどう研究開発を進めていくべきかが見えづらくなっているという相談をうけることがあります。

この理由としては、材料・素材メーカーがまだまだ自動車のハード(=自動車)を多数世に送り出しており次世代・次々世代位の方向性を決める主導権を有している、完成車メーカーとのコネクションが弱いこと、あるいは実際の自動車・サービスの普及速度を決定づける政府・行政(例:EV補助金など)とのコネクションが弱いこと等が挙げられます。

もちろん、地道に展示会や営業などで自動車メーカー・部品メーカーなど門戸をたたき、情報を取っていくことも可能ですが、弊社ナインシグマのプログラムの1つである、オープンイノベーションカウンシル(OIカウンシル)を活用していただくことで早く・多くの「不確実な未来に対して判断するための判断材料集め」が可能になります。

オープンイノベーションカウンシル(OIカウンシル) は、様々な業種のグローバル企業マネージャー層以上のカウンシルメンバーに対し、”アンケート調査”ができるというプログラムです。質問は自由に設定できますので、自社技術の出口戦略や新規市場へのリーチ戦略、スタートアップの評価など、アイディア次第で様々な用途への活用が可能です。特徴としては、「ビジネスの最前線にいる人達」から「バルク(30回答以上を保証)」で意見の収集ができることです。これにより、ビジネス界隈の人が考える未来の平均像を掴むことが可能になるのです。大手企業マネージャーの意見という意味でもある程度「ビジネスとしての判断基準」としての確からしさが担保できますし、政策等は往々にしてビジネス界隈の期待する方向に進むこともあるため、そういう意味で未来予測の1つの手法にもなり得ると言えます。

今回、ナインシグマはオープンイノベーションカウンシルを活用し、通常のCASEに関連して材料・素材メーカーにとっての注力分野と言われる「軽量化材料」「リチウムイオン電池」「高周波通信」以外の成長機会(バリュースペース)はないかを調査しましたので、その結果を紹介します。

簡易的な調査として行ったため、回答者は完成車メーカー所属の11名、Tier1サプライヤー所属の4名、その他サプライヤーの2名、サービス関係所属の1名の計18名となります。18名に関して2点の問いを投げかけてみました。

Q1. Connected(接続性)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス)、Electric(電気自動車)事業ドメインで材料/化学メーカーにとって最も重要な成長機会となり得る分野はどの分野ですか(複数回答可)

 

Q2. Q1にて回答いただいた成長機会が期待できる分野で、具体的にどのような機会が期待できると考えますか

Connected(コネクテッド)分野
  ・ 全ての電子部品を“Over The Air”へ(完成車メーカー)
  ・ 独立した部品ではなくシステムとしての開発、材料開発の高速化が望まれている(その他メーカー)
  Autonomous(自動運転)分野
  ・自動運転車内乗員のための追加安全対策としての高エネルギー吸収材料やエアバッグ展開のための安全な
    火薬が必要とされる。新世代のドライバーの多くは自動運転車を好むと考えるため、
    Autonomousこそが部素材メーカーにとっての成長領域(完成車メーカー)
Shared/Service(シェアカー/モビリティサービス)分野
  シェアサービスが広がるとユーザー中心主義が非常に重要となる(完成車メーカー)
  ・車両の稼働時間を上げるための耐傷性・自己修復材料(その他メーカー)
  全く異なる使用頻度や乗客の多様性のため、よりインタラクティブな部素材、長寿命で堅牢な素材
   (ボタンやサイドパネル)、室内装飾が求められる(完成車メーカー)
Electric(電気化)分野
  他の要素(コネクテッド、自律、シェアード)を本当の意味で実現し得るのはEVしかない
    材料/化学メーカーにとっては、バッテリーと軽量自動車部品(サスペンション、ワイヤーハーネス、
    トリム部品など)が成長分野(完成車メーカー)
  ・統合されたセンサ、小径・高柔軟性高電圧ケーブルが必要。(その他メーカー)

予想通り電池関連をはじめとするElectricに多くの回答が寄せられる結果となった一方で、C, A, S, Eの各要素はそれぞれ密接に関わっており、素材/化学メーカーにとって貢献余地があまり無いと思われていた「Shared/Service」にこそ成長機会があるとする意見や、自動車の使われ方そのものが変わるという意見も見受けられました。

例えば、Shared/Service化が進むからこそ、「車両の稼働時間を上げるための耐傷性・自己修復材料」「長寿命で検量な素材・室内装飾」が求められるようになるであろうというコメントは、当事者だからこそのコメントに見受けられました。

このように、不確実性の高まる社会では、いかに多くの情報・可能性を早く抽出し、それらの情報を元に複数の戦略を立てることが重要となっていきます。特に従来チャネルを持っていないところに飛び込むことは一般的には容易ではありません。ナインシグマでは、これまでに培ってきた様々な技術者・企業ネットワークを保有していますので、技術探索だけではなくオープンイノベーションに関する戦略制定から実行に至るまで、お気軽にご相談いただけましたら幸いです。

 

  山 本 洋
ナインシグマ・アジアパシフィック株式会社
名古屋大学大学院  工学研究科電子情報システム専攻修了  博士(工学)
株式会社東芝 ストレージ&デバイスソリューションを経てナインシグマ入社
  
 金 森 朋 子
ナインシグマ・アジアパシフィック株式会社
東京工業大学大学院  理工学研究科  化学専攻修了
日産化学、NEC (Thailand)を経てナインシグマ入社

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