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欧米の大手製薬メーカーが描く未来:オープン・イノベーションが牽引する、革新的な変革の舞台裏

ナインシグマ・ヨーロッパは長い間、多くの欧米の大手製薬企業を支援してきました。今回は、欧米の製薬企業への支援を通じて感じている製薬業界で起きている変革についてご紹介します。これらの変革は、日本の製薬業界が世界で生き残るためにも、避けては通れないことと考えています。

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製薬業界において、オープン・イノベーション(OI)がそれほど早くに導入されたわけではありませんが、近年OIを活用することで、製薬業界は大きな進化を遂げています。

これまで多くの主要な大手製薬企業は、外部ネットワークと連携した伝統的なOIプロセスによって、研究開発組織を強化しています。ただ、製薬会社はOIツールを十分に活用していないのが現状です。言い換えれば、これにはまだ活用の余地があるということです。

ナインシグマは、長らく製薬、バイオテクノロジー、医療機器製造を扱う大手企業様を支援させていただいております。これらの経験から確実にいえることは、OIは、創薬・開発プロセスのバリューチェーン全体に良い効果をもたらす手法だということです。

近年の製薬業界におけるオープン・イノベーションの変化

近年、製薬業界でのオープン・イノベーションの活用目的の傾向が変化しています。コロナウイルス流行以前、多くのプロジェクトでは、創薬や開発パイプラインの中核部分に焦点を当て、革新的な創薬シーズや技術を生み出すための、新しいパートナーシップを築くことが主要でした。しかし、この3年間で、製薬会社様の重視するポイントは大きく変化しました。

左の図:
製薬企業イノベーション・プロジェクト2015-2019で
重視されたポイントとは
コア事業の改善>隣接業界のイノベーションの活用>革新的な取り組み
右の図:
製薬企業イノベーション・プロジェクト2020-2023で
重視されたポイントとは
革新的な取り組み>隣接業界のイノベーションの活用>コア事業の改善


革新的な取り組み……ゲームチェンジャーとなるような、これまでにない革新的なイノベーション
隣接業界のイノベーションの活用……隣接業界が生み出したイノベーションの活用
コア事業の改善……研究開発の中核領域における新しい技術の開発

 

つまり、コロナウィルス流行以降、製薬会社様からは、より大規模かつ斬新なイノベーション・プロジェクトへの支援が求められるようになりました。例えば、新しい薬剤や高性能な製造方法の開発、規制遵守の自動化、分散型臨床試験、リアルタイム分析などです。

 例:
  • 革新的な細胞医薬、遺伝子治療、RNA医薬の創薬シーズを見出だし、自社のパイプラインに取り入れる。
  • AI、機械学習、デジタル・ツイン(現実世界に広がる情報をコンピューター上で再現する技術)を活用した、次世代の高性能な製造プロセスを考案する。
  • 法規制遵守を自動化する。
  • 分散化されたネットワーク上の臨床試験を可能にする。
  • 分析のオートメーション化やリアルタイムリリースによりQC業務、製品管理の品質向上、コスト削減につなげる。

なぜこのような変化が起きたのでしょうか。

この変化の背景には、コロナウイルスに関する製薬企業の対応により、業界の評判が向上し、収益が増加したことが挙げられます。その結果、長期的な変革プロジェクトへ予算がかけられるようになったと推測できます。

同時に、コロナウイルスによるロックダウンが製薬業界のサプライチェーンと日常業務に混乱をもたらし、業界が変革を迫る必要性を感じるようになりました。

現在、製薬会社様とのプロジェクトでは、その多くが業務の改善、生産規模の拡大、サプライチェーンの保護、輸送スピードの向上、輸送方法の見直しや薬剤価格改善に重点が置かれています。このようなイノベーションの力によって、製薬業界はますます、以前より安定した強さとスピード力のある、コスト効率の高い業界へと成長するでしょう。

革新的な取り組みを求める声がここまで増えたことは、当社(ナインシグマ・ヨーロッパ)としても大変驚いています。

製薬会社が成功するために重要なことは、バランスのとれたイノベーションポートフォリオを持つことです。

2012年、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に掲載された、Bansi Nagji と Geoff Tuff両氏の論文によると、プロジェクトの比率内訳として推奨されているのは、コア事業の改善策が70%、隣接業界のイノベーションの活用が20%、革新的な取り組みが10%です。このアドバイスは、現在でも有効であると考えられます。

上述のとおりナインシグマ・ヨーロッパが支援する製薬企業のプロジェクトでは、50%が革新的な取り組みに関するものであることが明らかになっています。自社に専門性や経験があるコアプロジェクトは自社で実施し、自社の経験が少ない革新的な取り組みのようなプロジェクトは外部の力を借り、加速させる傾向にあることが理由です。このようなプロジェクトこそ、外部知見が生きやすいことを示しています。

製薬業界は変革に対する投資を大幅に増やしており、ポートフォリオのバランスを見直す時期がきていると言えます。ナインシグマは、変革を伴う戦略的なプロジェクトや創薬・開発の中核を担う活動に対し、影響力のあるイノベーションを起こして企業を成功へと導く支援を行っています

製薬業界の皆様には、このような支援を活用していただき、競争力強化につなげていただければ幸いです。

詳細についてのお問い合わせはこちらから: contact_ap@ninesigma.com