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先端企業の取り組み1.フィリップス:短期間で事業転換できた2つのポイント

オープンイノベーション
意識改革
成功事例
推進者

ナインシグマでは、国内企業のオープンイノベーション活動支援の一環として、「グローバル・オープンイノベーション・フォーラム」を定期的に開催しています。このフォーラムは、先進的なオープンイノベーションを実践する世界的企業の取り組みを紹介する会員制のイベントです。

フォーラムでは、世界的企業でオープンイノベーションを実践している担当役員や責任者のみなさまを招待して、講演をお願いしています。講演後には、参加された国内企業の方々の質問に直接答えるディスカッションの場を設けて、活発な意見交換が行われます。

かつて下記のような世界的な3企業から講演者招いてフォーラムを開催しました。

第1回:フィリップス
第2回:モンデリーズ・インターナショナル
第3回:シーメンス

本コラムでは、上記の3 企業の講演やディスカッションの内容を、実際の講演者と参加された方々との対話形式で振り返りながらお届けします。

 

連載第1回では、元エグゼクティブヴァイスプレジデント 兼 最高技術責任者(CTO)としてフィリップスのコンシューマーライフスタイル部門を率いてきたAntonio Hidalgo氏を講演者としてお迎えしました。このフォーラムの内容を3回の連載で紹介します。

Hidalgo氏には、苦境にあったPhilipsのAV家電事業をヘルス家電事業に転換し、さらに成長させなければならなかった時期に、オープンイノベーションの活用に取り組みました。どのように事業創造・事業転換を断行したか、貴重な事例を講演いただきました。

 

フィリップスにおける新規事業の立ち上げプログラム

フィリップスでは、下記のような6つのステップからなる新事業創出活動を、数年程度の短期的なサイクルで高速に回していくことに取り組んでいました。

 

1. 戦略構築(Strategy)
2. 目標設定(Objective)
3. 新製品アイデア創出(Ideation)
4. パイロット(Pilot)
5. 社内展開(Embed)
6. 仕組み化(Structure)

 

サイクルが一巡する中で、うまく進んだ部分を「仕組み化」して社内の業務に落とし込み、定着化します。一方、不十分だった点は改善して、次の「戦略構築」に循環を繰り返します。こうして、創出される新規事業の品質や成功率の向上につなげていました。

各工程の位置づけと取り組みの詳細は、次回以降、Hidalgo氏の講演内容とあわせてご紹介します。

 

 

フィリップスが短期間で事業を転換できた背景には、オープンイノベーションの効果的な活用のみならず、非常に優れた社内のプロジェクトマネジメントシステムが構築されていたことが大きな要因としてありました。特に社内の大規模なチームを巻き込んで迅速に検証を進めるキーポイントとして、Hidalgo氏は以下のような工夫すべき2つのポイントを述べました。

 

■ 評価指標(KPI)の設定
チームの運営を一体化するために、上位のコミットメントを強く打ち出す評価指標を設定しました。例えば、担当者の目標未達が最終的には責任者である自分自身のクビにつながるような仕組みをとりました。みずからの覚悟の大きさをチーム内に周知させるためです。さらにメンバー各自の責任感を増幅させ、チーム内に強い連帯感をもたらしました。

■3年以内という短期サイクルでの社内の事業検証
トップマネジメントが変われば、事業の検証をゼロからやり直さなければなりません。そのリスクを考慮して、3年という短期間で社内のサイクルを回していました。このことによって、準備に莫大な時間をかけて失敗しにくい状況を作るのではなく、成果や失敗を次のサイクルに引き継いで好循環を築く効果が得られました。

 

上記の2つのポイントは、日本企業でも実践できる工夫として有効ではないでしょうか。こうした工夫をオープンイノベーションとあわせて実践することにより、従来以上に効果的な新規事業の創出活動ができると考えられます。

 

KPI acronym (Key Performance Indicator) Business team hands at work with financial reports and a laptop

 

第1回の今回はフィリップスHidalgo氏の講演内容の要約とポイントを紹介しました。この回だけでフィリップスの取り組みの全貌を理解いただくことは難しいので、次回以降、Hidalgo氏の講演内容をさらに詳しくご紹介していきます。