新しいオープンイノベーションの活用方法 ①「何をすべきか」の発想のために活用する:3.議論の相手を変えて考える

「自分たちの常識に凝り固まって、既存事業から離れた発想ができない」

「そうそう」と思ったみなさんの会社では過去20年の間に、柱となる新規事業は育っていますか? 答えは「No」というのが大多数ではないでしょうか。 実際、多くの日本の企業の「会社のシステム」は新しいものを生むことではなく、既存の事業を維持することに最適化されています。そのような環境で20年も育ってしまうと、どんなクリエイティブな人でも、発想力が衰えます。「社外から連れてこよう」と思っても、残念なことにそんな人はJob Marketにもいないのです。

そこで最近積極的に行われているのが、シリコンバレーやいろいろなベンチャーピッチイベントに足を運びスタートアップ企業と交流する活動です。スタートアップ企業はまさに新しいアイデアを発想し、実践している人たちの集まりです。彼らに社員になることは求めないけれど、アイデア創出には協力してもらおう、というのはまさにオープンイノベーション的発想です。

例えば、「自転車シェアリングの事業を作って発展させたい」と考えたとき、自転車に広告やセンサーを付けるシステムやビジネスモデルにしろ、もっと乗りたくなる・楽しくなるコミュニティーづくりにしろ、すでに世界中に数多くの関連するスタートアップ企業がいろいろ実践して知見を積み重ねています。実績の無い企業の担当者が考えて一から仕掛けるよりも、自分たちの考えている事業に関連のある、優れたアイデアを持った相手を見つけ出して協力を求めた方が、より良いアイデアが創れるわけです。

%e2%91%a0-3%e3%80%80240_f_47650647_uow8u0bxlgmqyh0da2dnkyvrcqrpwebg

目の付け所はいいけれど、そんないい相手がいるのか、いたとして協力してもらえるのかと疑問に思う人もいるかもしれません。しかし結論から言いますと、きちんとやればうまくいくことはわかっていますが、やり方がまずくて成果を出せていない企業もたくさんあります。

最近では、オープンイノベーションの担当になると、ひとまずシリコンバレーやベンチャーピッチイベントに行き、新規事業に役立ちそうなスタートアップ企業との関係作りを目指すのが流行りになっているようです。しかし、なかなか期待するような相手と出会えず疲弊し、「あと何回行けば、自社に役立つスタートアップ企業に出会えるのだろう」と考え始めます。一体、どうすればよいでしょうか?

前回のコラムでご紹介したように、アイデアを得たい領域をきちんと定義してみると、会いたい企業が無いベンチャーピッチイベントがたくさんあることに気付くはずです。ベンチャーピッチは、興味の領域と合致するスタートアップが出る場合にのみ絞って参加すべきなのです。ムダな時間は省き、ポイントを絞ることが大切なのです。

有望な相手先を見つけるためには、誰かがイベントを開催してくれるのを待つだけでは、いつになっても出会えません。アイデアを得たい領域に該当する活動をしている相手、つまり自社の望む内容にマッチングする相手を積極的に見つけ出し、そして働きかける活動に重点を置くことが重要です。

また、よくある失敗例が、自分たちの考えたアイデアをスタートアップ企業に実現させようとすることです。スタートアップ企業の経営者は、強い思いを持ち、リスクを取って起業しているため、あれこれ指図されるのを嫌がります。しかし、自分たちには量産力や販売網といった、いろんなアセットやスキルが不足しているのも自覚しているので、みなさんの手を借りたいとも思っています。なので、アイデアが欲しい領域において、彼らにやりたいことを提案させるのが最もうまくいく方法です。自ら提案したことであれば、事業化に向けて、一緒に熱心に動いてくれます。

90年~00年代、日本の電気メーカーが世界をまだまだ席巻していたころ、その技術企画部門は世界中から売り込みに来るアイデアをチェックするだけで大忙しでした。残念ながら、今日では、スタートアップ企業は良いアイデアがあればGoogle やAppleといった海外企業に先に売り込みに行ってしまうのが現状です。日本にアイデアが入って来なくなってきているのです。だからこそ、これまで以上に積極的に領域を決め、世界中に働きかけて、優れたアイデアを持っている相手と議論して、世界に通じるアイデアを生み出していく必要があるのです。

(ナインシグマは「アウトリーチ」プログラムで、みなさんがアイデアを得たい領域で活躍している世界中のスタートアップ企業との関係構築の支援を行っています。)