NINESIGMA TOP > 研究開発TOPとの対談 > 第1回 日東電工株式会社 取締役上席執行役員 CTO/表 利彦

日東電工株式会社

取締役上席執行役員/CTO 表 利彦

第1回の連載は、エレクトロニクス、自動車関連、ヘルスケア、環境分野で高い技術を担う「日東電工株式会社」。
業界を牽引するリーディングカンパニーとして常にトップを走り続ける同社の、最高技術責任者で上席執行役員の表利彦氏に、R&D組織運営の根底にある戦略と熱い想いを伺いました。

諏訪今日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
表さんとはこれまでにも何度かお話をさせていただく機会がありましたが、このような対談という形でお話を伺うのは今回が初めてです。リラックスした気持ちでさまざまなお話ができればいいのですが、表さんのお話は勉強になることが多くて。私のほうがついつい聞き入ってしまうので、対談にならなくなってしまうことだけが、少し心配です。(笑)
このような対談の場を作ったきっかけは、大企業のCTOの皆様がどのような考えでR&D組織を運営されているのか、あまり知る機会が無いため、ナインシグマのネットワークを使って外部へと発信することで、より良い出会いが生まれればと考えたからです。また、我々にとっても、オープン・イノベーションという一部の活動だけでなく、全体的なR&D組織運営についてより理解を深めることで、その背景にある人や技術をもっと世に広めていきたいと考えています。
それでは、さっそく対談に入らせていただきます。よろしくお願いします。

こちらこそよろしくお願いします。

新しいエコシステムを形作る企業に求められ続けることで大きく成長する

諏訪日東電工の場合、半導体関連の部材が成長を牽引していた時代もあれば、液晶などの光学部材が成長を後押しする時代もありました。しかし、最近のエレクトロニクス分野は、次なる成長が見えづらくなってきたように感じます。もちろん御社では、エレクトロニクス以外にも、メディカルなどの多岐に渡る分野で事業を展開されていますが、ニーズのとらえにくいこれらの市場において、今後の技術開発における戦略を教えてください。

日東電工は2018年に100周年を迎えます。この節目の年を迎えるにあたり、今後、いかに事業を伸ばしていくかを考えなければいけません。まず一つに、現存の事業でキャッシュを生み出さなければ、次の投資はできないということをふまえ、これまで取り組んできた「3新活動」や「グローバルニッチトップ戦略」という、日東電工のDNAで現業事業を安定的に成長させることが重要になってきます。しかし、さらなる躍進を考えた場合、従来通りのやり方で猛進するだけでは成長にも限界がある。そこで、さらなる一手として、「Green」「Clean」「Fine」という新たな成長領域を育てていこうと考えています。

諏訪Greenは環境技術で、Cleanはエネルギー・省エネ。 Fineはライフサイエンスですね。

そう。これら3つの成長領域を育てるためには、自分たちのDNAに頼るだけでは限界があります。従来の殻を打ち破りさらなる高みへと挑戦していくには、外部の技術を取り込むことも必要だと考えています。

諏訪まずは、研究開発を進めていく上で、日東電工のDNAの一つともいえる「3新活動」について教えてください。

「3新活動」とは、今お世話になっている市場と既存の商品から、「新市場」「新商品」へと拡大し、その両方を合わせて「新事業」を生み出す、まさに「3新」で活動するということです。分かりやすくいえば、新しいニッチを発見し(新市場)、コンセプトをマーケティングすることで顧客へ一足先に商品を提示(新商品)、そして、新たなパートナーを見出し、新たな市場や商品を深く掘り下げることで事業部とコラボレーションを生み出す(新事業)という、枠組み作りを行っています。
しかし、新たな成長領域に対して、5年?10年後に既存事業の延長でできるこれまで通りの3新活動を当てはめるとなると、アプローチの仕方に少し無理がある。
我々が目指すべきは、将来起こりうるエコシステムを形成する上で、キーストーンの役割を担う強い企業に対して、「日東電工はぜひそこに入っていてください」「抜けないでよ」と言ってもらえるような、不可欠な存在になることだと考えているのです。

諏訪そういった新しいエコシステムの領域が何であるか。その見極めが、各社が一番悩んでいるところではないでしょうか。 それがわかっていないと、新しい技術を育てるチャンスがあっても気付かなかったりする。御社の考え方は、そういう新しいエコシステムの領域は、すでに考えているプレーヤーがいて明確になっているので、そこに取り込んでもらえるように先回りして動くことが重要、ということなのでしょうか?

いや、新しい領域は明確では無いのです。無いのだけれど、「差別化のマネジメント」という目指すべき姿を可能にする、日東電工の研究のテーマを設定する際に、絶対に描けなくてはならない3つの満たすべき基準があるのです。

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