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成果を上げるオープンイノベーションの考え方(1):成果に結びつける

オープンイノベーション

オープンイノベーションで成果を上げたい、と考えているみなさん!
こんな課題に直面されていませんか。


「実践しているが成果に結びつかない」
「途中で止まってしまうプロジェクトが多い」
「なかなか良い協業相手が見つからない」
「そもそも、新しい発想の良いテーマが出てこない」

オープンイノベーションの詳しい実践方法については、社員のブログに委ねるとして、私からは、『それぞれの状況を改善する考え方』についてお話したいと思います。

実践を成果に結びつけるオープンイノベーションの考え方

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「産学連携を実施しているが、なかなか成果に結びつかない」
こんなお悩みをよく耳にします。成果につながらない原因として見直したいのは、「オープンイノベーションについての考え方」です。いったいどういうことなのか、まずはそこからお話していきたいと思います。

オープンイノベーションという言葉が浸透してきた背景には、「自前開発だけでは目標達成に間に合わない」という点にあります。
そもそも、技術開発を行うのは、設定した目標と、自分たちが今できることとの間にギャップがあるためです。しかし、世界規模で機能やコスト、品質の競争が厳しくなっている今日にやるべきことは、より高度化・多様化・複雑化しています。
その分時間をかけて開発できるかというと、実際にはその逆です。『Winner Takes All』の市場環境において、これまで5年かけていたものは3年、3年かけていたものは1年でできないかと、より短い期間での成果が求められるようになっています。そのため、自前開発だけでは、到底このギャップが埋まらなくなっているのです。
ここまでの状況は、オープンイノベーションが必要になっている背景として、広く認識されていることと思います。

ここで重要なカギとなるのが「ギャップ」です。

設定している目標も、現時点で達成できると思っている出発点も、多くの場合、自社の研究者・技術者だけでなく、顧客、サプライヤー、ベンダー、大学の先生といった現在すでに付き合いのあるパートナーの技術やアイデアは既に織り込み済みです。
いくら社外であっても同じ相手と共同研究を続けて、彼らに新しい技術やアイデアを期待しても、結局、自前開発で行うのと同じくらい、時間が掛かってしまいます。さらには、そもそも現時点でのギャップが大きいままなので、成功率も一向に高まらないのです。

つまり、成果につなげるうえでは、より高い目標設定を可能にする、新しい市場ニーズやアイデアを持った相手、さらには、ギャップを埋めるだけの高度な技術やスキルをすでに持っている新たな相手を見つけて、協力してもらうことが不可欠になるのです。

これまで実施してきた企業連携、産学連携を「オープンイノベーション」とただ言い換えただけでは、一向に成果につながりません。オープンイノベーションの「オープン」は単なる社外連携でもなければ、すべてをさらけだすことでもなく、むしろ、「ネットワークを拡げる」と考えていただいた方が成果につながりやすいと言えます。

分かりやすい例を挙げてみましょう。
オランダのPhilips社は、オープンイノベーションを活用して、黒物家電から健康家電に事業転換を実現しました。研究開発の方針においては、単に「オープンイノベーション」と言わずに、「これまで付き合ったことの無い組織と付き合うことによるオープンイノベーション」としています。これはまさにその意図を社員にしっかり伝えるためだと思われます。
また、P&Gは自社のオープンイノベーション活動を「Connect & Develop」と呼んでいますが、「Connect」という言葉には、新しい相手とつながる、という意味がありますので、これも伝わりやすい表現ではないかと思います。

このようなお話をすると、「それならすでにやっている」と答える研究者・技術者も少なくないでしょう。そこでもう一つ重要になるのが、「拡げ方の徹底度合」です。

インターネットの普及により情報は世界中にあふれています。Googleで検索すれば、いくらでも新しい情報は手に入ります。 しかし、簡単に手に入る情報は、ライバル企業も同様に、簡単に手に入れることができるのです。そのような情報をもとにテーマを設定し、研究開発をスタートしてしまうと、同じ時期に、同じような技術を開発してしまいかねません。これではインパクトのある結果を期待することも難しいでしょう。研究開発は「差別化のための武器」でもあるため、ライバルと同じではまったく意味をなさないのです。

簡単に手に入る公開情報を元にしても意味がありません。オープンイノベーションを成果につなげるために必要なことは、他社とは違うリソースをもとに、より魅力的なテーマを掲げ、それを可能にすること。ギャップをより大きく埋められる技術やアイデアをすでに持っている仲間となる人を見つけ出す、「本気のネットワーク拡大」が重要になります。 ネットワークを拡大する上で、すでに外部のネットワークを持っている技術仲介組織の活用というするのも選択肢のひとつです。