国内におけるオープンイノベーションの活動事例

日本国内においてオープンイノベーションを効果的に活用している事例はたくさんあります。

今回は、実際に製品開発の成功へと導いたオープンイノベーションの活動の具体例をご紹介していきたいと思います。

 

目次

1.企業同士だけではない!産学連携が増える理由

2.産学連携の成功例「イチゴの収穫ロボット」

3.「とちおとめ」を世界中の消費者へ

 

 1. 企業同士だけではない!産学連携が増える理由

 

国内のオープンイノベーションの事例というと、東レ×ユニクロによる機能性衣料品「ヒートテック」、NTT×東レによるTシャツに生体情報の計測機能を組み込んだ新素材「hitoe」の開発のように、大企業同士の事業連携による成功例が広く知られています。

 

一方では、日本企業はこれまで、国内の大学との連携により多くの成果を生み出してきました。最近では以前にも増して、産学連携の成果が増えてきているように感じます。その理由としては、近年の国立大学の法人化に伴い、大学独自の研究活動、特許のあり方などが見直されたことなどが挙げられます。

 

2.産学連携の成功例「イチゴの収穫ロボット」

 

2004年8月にスタートした栃木県初の産学間コンソーシアム事業の例をご紹介しましょう。地元の民間企業がロボットのメカニック部分を、そして、宇都宮大学・尾崎准教授がロボットの走行機能や認識システムをそれぞれ担当することで、活動を開始しました。2015年以降、実用化のメドが立ったという報道が増えていますが、実はこのロボットの1号機は、すでに、2005年には完成していました。その時点での機能は、“イチゴを摘みとる”だけのものでした。

 

その後2007年に開発が実現した2号機には、磁気を利用したマッピングによりナビゲーションなしでビニールハウス内を自走する機能、イチゴの大きさや鮮度により“摘む・摘まない”の選択機能がアドオンされました。イチゴの果実に触れることなく、付属のカメラを通して、イチゴの表面・色などを識別できるこの機能は、収穫後の鮮度や品質を高い水準に維持することを可能にしました。

 

ビニールハウス内では、屋外の天候変化により明るさが変動したり、葉との位置関係によりイチゴが暗く見えるといった問題点がありました。ロボットの視覚システムの繊細な色設定は、本システムの実現に不可欠であったとされています。

 

収穫後のイチゴの品質を低下させずに収穫するという技術については、同大・農学部の柏嵜教授との共同研究で、ハウス内の移動システムの高機能化については、実際の農家の農場を借りて実地検証をするといった、様々な関連組織を巻き込んでの活動により、技術の確率を行ってきた点も、成功への秘訣と言えるでしょう。

 

Fresh strawberries on white background

3.「とちおとめ」を世界中の消費者へ

 

最近開発された収穫後のイチゴ専門の収納容器「フレシェル」の開発は、それまで2〜3日程度だった品質保持期間が10日間まで延ばすことに成功しました。食用として高い品質を保てるため、世界中の消費者へ「とちおとめ」を届けることを可能にしたのです。

 

本ロボットの開発は、産官学に基づいた好例と言えます。「とちおとめ」をはじめとする地元のイチゴ産業を盛り上げたい栃木県と、生産性を向上させたい地元の民間企業や農家と、そして、ロボット技術を持つ宇都宮大学の効果的なコラボレーションにより実現することができました。

今後も大学の研究成果の実業化が積極的に推進され、企業や地元との連携により、事業の強化に繋がる成果が出てくることが期待されます。