新しいオープンイノベーションの活用方法 ①「何をすべきか」の発想のために活用する:2.新しい情報に触れて考える

「いいアイデアが全く出てこない」「この議論、この前もしなかったっけ?」

このようなぼやきが出る企業は、例えば、自社技術とIoT技術をもとに、ヘルスケア分野の新規テーマを検討する場合、各自がIoT分野はヘルスケア分野の書籍やセミナーで勉強した上で、チームで議論をしがちです。

問題はどこにあるのでしょうか? このやり方で、IoTやヘルスケアの一般的な情報は手に入りますが、自社技術とIoT技術の両方を活用し、かつ、ヘルスケア分野で役立つアイデアはもちろん、アイデアのきっかけとなるような尖がった情報は手に入りません。勉強する側も、これまでの事業の常識にとらわれたままで情報を解釈しているのでは、閃きも期待できません。

前回のコラムでお話したように、海外のグローバル企業には、規模も大きく経験も豊富なマーケティング部隊がいて、先ほどの例で言いますと、自社技術とIoT技術に関連するヘルスケア分野の、具体的かつ新しい技術や市場、ビジネスモデルの情報収集をしてくれます。議論するメンバーが変わらなくても、新しい刺激となる情報を得ることで、新しいアイデアが生まれやすくなるのです

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ては、マーケティングの人材や体制を整備しにくい日本では、どのように実践していけば良いのでしょうか? 技術課題の具体的な解決策を見つけることは、要求が具体的になるほど難しくなりますが、逆に、「IoT×ヘルスケアの分野で、自社技術が役立ちそうな魅力的な市場やアイデア」といったざっくりとした探索も骨が折れます。なぜなら、「IoT×ヘルスケア」というとても大きな拡がりの中から、自社技術が役立ちそうで面白い技術やアイデアを目利きして選ぶ必要があるからです。

そこで重要になるのが、求める技術やアイデアの境界、何を以って「魅力的な市場」とするのかをステークホルダーを巻き込んで表現してみることです。もともと求めているのは「新しい何か」なので、きっちりとした境界を描くのは難しいことですが、各々が考えているあり得る技術の領域や「魅力的な市場」が何を意味するのか、などを書き出してみると、思った以上にいろんな制約、考えの相違があることに気付くはずです。これをまとめるだけでも無駄な調査活動を大幅にセーブできるのです。

次に重要なのが、できるだけ広範囲の情報を集めることです。例えばP&Gは世界十数の大商業圏において、地域ごとに特定の目的を持って技術やアイデアのスカウティングをしています。最初から国内や特定の地域限定のニッチビジネスを目指すのであれば話は別ですが、シリコンバレーですらマーケットの視点ではかなり特殊なため、世界で戦っていくのであれば、最初からグローバルに情報を集めることがベストなのです。

ベンチャーキャピタルからベンチャー企業の情報を得たり、調査会社のレポートを購入する方法もありますが、「IoT」「ヘルスケア」と単独の領域でしか情報収集できなかったりしますし、ましてや、「自社技術が役立ちそう」とか「魅力的な市場か」などの目利きはしてもらえませんので、情報整理だけで膨大な手間がかかります。そのようなスクリーニングまで手伝ってくれる先を活用するのも時間をセーブする上では有用です。重要なのは情報収集ではなくアイデアを生み出すことに時間を割くことですので…

今までとは異なった技術や市場の見方、ビジネスモデルを持ったベンチャー企業との関係を築き、新しい情報、視点を取り入れることができれば、新たな発想が生まれやすくなります。

(ナインシグマは「アウトリーチ」プログラムを通じて、このタイプのオープンイノベーションの実践支援を行っています)