先端企業の取り組み4.モンデリーズ:ささやかな報酬とパワー・クエスチョン

前回まで3回に分けて、フィリップスのコンシューマーライフスタイル部門、元CTOのAntonio Hidalgo氏による講演内容を紹介しました。引き続いて今回は、モンデリーズ・インターナショナル(以下、モンデリーズ)のオープンイノベーションに関する取り組みや成功事例を紹介します。モンデリーズは、日本でもお馴染みのオレオ、リッツ、クロレッツといったスナック事業を世界中で展開している企業です。

 

 

モンデリーズの技術部門シニアヴァイスプレジデントとして統括しているTodd Abraham氏に来日いただき、ナインシグマ・ジャパンの「グローバル・オープンイノベーション・フォーラム」でお話いただきました。この講演内容を3回にわたってお届けします。

 

この講演では、モンデリーズにおけるオープンイノベーションの成功のポイントについて、興味深いお話を伺うことができました。今回は「非公式な報酬」と「Power Questions」について紹介します。

 

ささやかな報酬とパワー・クエスチョン

モンデリーズでは、2000年代初頭からオープンイノベーション活動を開始しました。最初のおよそ3~4年は「オープンイノベーション風土の醸成」に費やすなど、社内文化の変革を最も重要事項として定めて、取り組みを進めてきました。

 

「意識改革」や「風土変革」を重んじる考え方は、「ルール」や「システム」を優先する傾向にある欧米企業としては珍しい試みです。むしろ日本企業と親和性の高い考え方かもしれません。モンデリーズでは、この企業文化の醸成に「ささやかな報酬」と「Power Questions」という2つのユニークな手法を取り入れました。

 

  • ささやかな報酬

オープンイノベーション活動を通じた外部との協業プロジェクトが上手くいった場合は、チームメンバー皆でお祝いに行くという、非公式な報酬を導入しました。全社的な報酬制度や評価制度をいきなり変えることは困難です。しかし、このような簡単な取り組みであれば、誰でもすぐに実践することができ、着実に従業員の意識を変えることができました。効果があり、成功した手法です。

 

  • パワー・クエスチョン

社内の開発テーマの検討会などの冒頭で、マネジメント層が「自分たち以外にこの技術課題を解決できる人はいるか」などの質問を社内の研究者に必ず行うようにしました。社外の技術や専門家に関する情報を収集する習慣を付けさせることが目的です。

 

このような質問集をパワー・クエスチョンとして定型化し、社内の研究者に紙にして配布しました。日常業務で習慣付けることにより、マネジメント層の意識が変わり、さらに毎回同じ質問を受ける研究者側にも社外技術を検討する重要性を根付かせて意識改革ができました。

 

オープンイノベーションの実践に苦労する国内企業によく見られる問題として、社内の関係者の意識改革や巻き込みの失敗が挙げられます。

 

対応策として、全社的な制度改革など大掛かりな取り組みが効果的なことはもちろんですが、なかなか実践できないことも事実です。このような場合にはモンデリーズの例を参考に、部門内の日常的な仕事を変えるところから、社内文化を変えるトライアルをしてはいかがでしょうか。

 

Group of friends toasting with aperitif eating barbecue outdoor - Closeup of hands cheering with cocktails and beers - Friendship,summer,fun and dinner concept - Soft focus on right bottom hand

 

 

次回は、モンデリーズのAbraham氏による講演内容を、ディスカッションを交えて紹介します。

 

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