うまく社外の技術を見つける方法(2回目) 2.社外に求める技術の粒度感を調整する(その1)

前回、外部技術を見つける上で、「何を探すべきか明確にする」方法についてお話しました。今回は、「社外に求める技術の粒度感が合っていない」ことを回避する方法についてお話します。

 何を探すべきかを明確にする方法として、5つの質問に対する回答を書き出してもらうということをお勧めいたしました。質問1で記入した課題が、業界独自性が高く、一般の研究者には理解できないようなものですと、仮に社外にそのまま求めても、受け手の組織や先生にこちらの意図が伝わらず、有望な社外の技術は当然見つかりません。そのため、社外に技術を求める際には、異分野を含む一般の研究者や技術者にも理解してもらえるようにするなど、求める技術の粒度感を調整する必要があります。

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「求める技術の粒度感を調整すること」はそれほど難しいことではありません。前回ご紹介した質問1、3、 4に記入した課題が以下に当てはまっていないかをチェックしてみましょう。

①ないものねだりになっていないか?

社内で訊いてみたり、ネットで調べてみたときに「10~20年前からの指摘され続けてきた課題」であることが分かった場合、もしそれが解決されていればニュースになっているはずです。ニュースになっていない場合には、すでに解決されている可能性は低いので、たとえ多少の追加の開発の猶予を持たせたとしても解決は難しいことが予想されます。この場合、テーマ自体をもう一度見直す必要があります。

②追加開発なしで、すぐにでも自分たちの課題を解決できる技術を求めていないか?

オープン・イノベーションにおいて、探し出した社外の技術が、追加開発なしにすぐにでも自分たちの用途に適用できるということはほとんどありません。皆様が全くアンテナを張っていなかったのであればその限りではありませんが、社外連携においては、技術の「すり合わせ」や「アーキテクチャの再定義」などが必要になってきますので、自社や協業相手にとっての「追加開発の期間や費用が許容できるテーマであること」が不可欠になります。

③競合他社にしか解決できそうにない技術を求めていないか?

冒頭にお話した通り、業界独自性が高く、一般の研究者には理解できないような技術を社外に求めた場合、解決策保有者は競合他社、競合他社の協業先、貴社の既存のパートナーなどに限定されていると考えた方が現実的です。そうした状況下で、研究開発を加速化するパートナーを得るには、自分たちが求めている技術課題を要素分解する、もしくは課題を置き換えることで、異分野の技術含めて出来る限り幅広い研究開発コミュニティに有用な知見を求める、といったやり方が現実解になるのではないでしょうか。

この課題の要素分解や置き換えの詳細については次回のコラムに譲りますが、自分たちが社外に求めようとしている技術が競合他社等以外にもやっているかどうかはネットで簡単にチェックすることができます。自分が困っている技術課題について、GoogleやGoogle scholarにて、(※望ましくは英語のワードで)検索をかけるだけです。

例えば、ある自動車関連メーカーが「運転手の眠気を検知する技術」を社外に求めるとなった場合、「driver sleepiness detection technology」という単語で検索をかけてみると、出てくる組織は同業他社とその周辺企業のみです。一方、近年需要が高まっており、技術開発も盛んに行われている低温廃熱利用に関して、例えば「low temperature heat recovery」で検索をかけてみますと、メーカー、アカデミア業態問わず技術開発が行われていることが確認でき、さらに自社の競合以外にもプレーヤーが数多くいることが見てとれます。このようなテーマの方が、オープン・イノベーションとの親和性が高いということを分かって頂けるかと思います。

最後に、ここまでお話した「求める技術の粒度感」とは若干異なりますが、以下の点も社外に技術を求める際にチェックすべき重要な点となるので、ご紹介しておきます。

④開示する技術課題をあいまいにした上で、それを解決できる技術を求めてないか?

自分たちがどのようなことで困っているか社外に知られることを恐れるあまり、社外に求める技術課題をぼやかしたいというケースです。課題が漠然としている分、集まる社外技術の内容も漠然としたものが多くなり、自分たちの課題を解決できそうなものがあるのかないのかわからないというケースになりがちです。そのため、社外に求める技術課題は「ある程度内容を開示できるものであること」も重要なポイントとなります。

一方、技術要件を具体化できないテーマもあるでしょう。その場合には、研究開発や事業の目的や方向性、その案件に関わる社外組織にとってのインセンティブ(魅力的な事業機会や研究資金など)が重要になってきます。ナインシグマの技術公募プログラムでは、「探索主企業の社名非開示で実施できるため、その分技術要件または目的・方向性、ないし、インセンティブはしっかりと開示させてください」とお伝えさせて頂いております。

次回は、「社外の求める技術課題の要素分解や課題の置き換え」についてお話します。