後回しにしてはいけない!知財の取り扱いについて

多くの日本企業ではコラボレーション相手を見極める際に、技術面のみを見て評価しがちですが、忘れてはいけないのは、知財の取り扱いです。オープンイノベーションにおける知財の取扱いについてご紹介していきます。決して後回しにしないように注意してください。

目次

1.共同開発の知財の取扱いには事前の合意ナシには進めない

2.コラボレーションは「Win-Win」が大前提

8-240_F_71565771_uLpgyQaynU3IfeTU392G9JpZwrz2fzDQ

1.共同開発の知財の取扱いには事前の合意ナシには進めない

オープンイノベーションは社外組織と共同で取り組むことにより新たな価値を生み出す活動です。そのため、生み出した成果の取り扱いに関して、社外の組織と協議することが必要となってきます。

すなわち、共同開発の知財の扱いに関して合意できなければ、最終的な成果を自社に取り込むことができず、結局時間・コストともに、すべて無駄になってしまいます。そのため、知財の扱いに関しては事前に合意を取る必要があり、このプロセスが大変重要になってきます

すでにオープンイノベーションを会社のプロセスに組み込んでいる欧米の組織では、オープンイノベーションチームは技術者だけでなく、法務、知財の担当者も加わったクロスファンクショナルチームで構成されており、初期の段階から知財を考慮する仕組みを作りあげています

例えば、世界最大手化学メーカー BASFでは、優れた共同開発契約を締結するために優秀な弁護士を雇う重要性を認識しており、各プロジェクトには10-15名の弁護士がついています。プロジェクトの開始前の段階で、開発が成功した際の知財の取り扱いについての十分な議論を重ねているといいます。

場合によっては、知財の扱いに関する議論だけで1年も要することもあるとのことですが、それでも事前に、成功した際の知財の扱いを規定しておくことが、開発後の時間の大幅な短縮化の実現には必要不可欠とのことです。

すなわち、協業相手を選定する際には、技術面だけではなく、知財の取り扱いについても忘れてはならない選定観点になります。

弊社がお客様に依頼されて協業相手の候補先の選定をサポートさせていただく場合には、最初から、1組織に絞りこまずに、2〜3の組織を候補として、「技術」「知財」「コミュニケーション」の3つの観点から共同相手として最も望ましい組織を選定することをおすすめめしています。

 

2.コラボレーションは「Win-Win」が大前提

知財の扱いに関してはお互い譲歩が必要です。多くの日本企業では、開発費は自社が出すのだから権利は全て自分たちのもの、としたがる傾向にあります。そして、それを当然のように振る舞うケースが多く見られます。果たしてそれは妥当なのでしょうか。

自社がゼロから開発した技術をベースにしているのであれば話は別ですが、オープンイノベーションでは、相手が既に有している有望な技術を使わせてもらう、もしくは、相手の技術をベースにして開発を行うことが多いため、相手の技術を尊重することが求められます。

そのため、大学であれば、論文等で発表することを認めてあげる、ベンチャーであれば、他の用途での利用を認めるなど、自社の戦略の大きな阻害にならないことであれば相手にとって「利」のあることを認める懐の深さが求められます。杓子定規に、前例がない、例外はみとめたくない、というのでは、話は進まないのです。

コラボレーションは「Win-Win」となることが大前提であることは言うまでもありません。自社だけの利益でなく、相手のことも思いやる、それが最終的には自社にも返ってくることを日本企業はもっと認識する必要があると思います

知財においても同様のことが言えます。オープンイノベーションをうまく進めるためには、従来の自社技術の保護を第一とする守りの知財戦略から、共創型の発想、すなわち、両者がwin-win の関係になる知財戦略に変えていくことが求められます。

このように、技術だけなく、知財においても考え方、仕組みを変えていかなければうまく進まないことがオープンイノベーションの難しさでもあると思います。一方でこの仕組みを変えてでもオープンイノベーションをうまく推進し、様々な成功事例を出している企業が存在しているのですから、日本企業にできないことはない、とも思うのです。

会社の仕組みを変えるには時間がかかるとしても、まずは担当の研究者・技術者が自社の知財担当者を口説き、個別プロジェクトごとに柔軟な対応を行うこととは、難しいことではないのです。それが、オープンイノベーションを成功に導くための大前提問い得るのです。