製薬業界におけるオープンイノベーション

製薬業界においても近年活発にオープンイノベーションの取り組みが行われています。
本コラムでは製薬業界のオープンイノベーションの動向についてご紹介いたします

広がりを見せる「オープンイノベーション」の考え方

多様化する顧客ニーズや激化する企業間競争を背景に、自社単独での研究開発に限界を感じる状況下で、社外に存在する有望な技術やノウハウを自社技術と融合させる「オープンイノベーション」の考え方は、近年、製造業を中心に広がりを見せています。

これは、製薬企業においても例外でありません。バイオベンチャーやアカデミアの有する創薬シーズや技術を取り入れることにより、革新的な創薬を創出する試みがなされています。従来、医薬品研究は極めてクローズドとされていましたが、社外に目を向ける必要に迫られた背景としては以下のような事柄が挙げられます。

① ブロックバスターと言われた大型新薬の相次ぐ特許切れ
② 大型新薬創出のための疾患標的分子の枯渇
③ 研究費に対する新薬創出の成功率の低下
④ 社会環境の変化(少子高齢化等による社会保障給付費抑制)

上記は、主に低分子化合物を中心としたビジネスモデルの破綻を示しており、個別化医療、稀少疾患等、特定の患者の要望に応えるための新薬開発が強く求められています。それらに応えるべく増加しているのが、メガファーマを中心に、バイオ医薬品や核酸医薬品の開発に注力する企業です。

また、稀少疾患に対する治療薬創出のためのコラボレーションも認められ、依然として低分子化合物による革新的新薬創出の試みは盛んに行われています。

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医薬品の枠を超えたコラボレーション

上市される新薬は、製薬企業が強みを有している改良型医薬と、バイオベンチャーやアカデミアが強みを有している画期的新薬に大別することができます。
そのため、革新的な新薬創出には、製薬企業単独で研究開発を進めるより、有望な創薬シーズや創薬標的を有するバイオベンチャーやアカデミアとの共同研究・共同開発を実施する方が、開発スピードやコスト改善のためには有効であると考えられます。

製薬業界におけるコラボレーションは、依然として画期的な新薬創出を目指したものに重きが置かれていますが、従来の新薬を創出するためのコラボレーションの枠を超えた異業種とのオープンイノベーションの取り組みもなされるように変化してきています。例えば、以下のような取り組みがなされています。

  • 患者における治療の利便性や臨床開発の効率を向上させるために、通院せずに患者情報をセンシング・モニタリングすることが可能なデバイス開発
  • 臨床試験等で得られた機密性の極めて高い情報を管理するために、ブロックチェーンを採用するといった試み

このように、製薬企業においては、従来までの新薬を創出するためのコラボレーションから、治療におけるトータルソリューションを提供するための異分野とのコラボレーションまで、幅広いオープンイノベーションの取り組みがなされています。今後は、それぞれの内容を深堀して紹介していきます。