オープンイノベーション推進者の役割 4.啓蒙・実践者の育成

前回、前々回は、オープンイノベーション推進者の最初の重要な役割として「方針の策定」、「手段・プロセスの構築」についてお話しました。今回は、「啓蒙・実践者の育成」の役割についてお話します。

会社としてオープンイノベーションを戦略の1つとして掲げていても、ほとんどの開発者がオープンイノベーションは未経験というのが現状です。さらにやっかいなことに、オープンイノベーションには、自らが直接関わらないと意義を実感しにくいという性質があります。また、これまで自前主義、つまりNot Invented Hereシンドロームに陥っていた企業では、オープンイノベーションの経験は積極的にシェアされず、他の部門が行っていることを知らないというのも珍しくありません。

そこで、オープンイノベーションのビジョン・方針、活用目的、実践方法、活用事例などを、経営陣・ミドルマネジメント・リーダー・担当者と各層に啓蒙して回ることが推進者の重要な役割となります。

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従来からの開発とオープンイノベーションの違いは簡単には理解できないので、自社でのプロジェクト実践例や各部門で参考になる他社事例を集め、活用方法から成果まで、説明だけでなく、質疑応答を通して粘り強く説明する必要があります。全般的に危機意識の低い企業においては、ナインシグマが訪問して、他社の先進事例を紹介することで意識喚起のお手伝いをすることもあります。

いくら啓蒙をしてもまったくその気にならない人も、もちろんいます。また、オープンイノベーションを実践する上で求められる「やりたいことを強く持ち、その実現に向けてしっかり進められる力」が無い人もいます。そこで、啓蒙の際のやりとり通じて、外部組織との打ち合わせに参加させたり、オープンイノベーション活動を十分に遂行できそうな人を普段から見極めておく、ということもオープンイノベーションの成功率を高める上では重要な活動と言えるでしょう。

これまでの説明でもご理解いただけるかと思いますが、オープンイノベーション推進者の活動は多岐にわたり、手間もかかるので、会社全体で大きな成果を上げていく上では、推進者を増やしていく必要があります。

まずは、オープンイノベーション実践者に対し、プロジェクトを成功させる上で必要なオープンイノベーションの理解や活動を座学や演習などを通して伝え、成功しやすくします。会社によっては、知的財産の考え方や、法務・知財など社内他部門との折衝方法を指導するところもあります。

中には、実践者へのトレーニングを、プロジェクトの実施前だけにとどめず、実践後に、各部でのその役割を果たせるように、推進者とはどうあるべきか、その役割についての演習を行う企業もあります。自ら実践した後ですので、オープンイノベーションに対する理解も深まり、推進者になりやすい状況を最大限に活かしているわけです。

次回最終回は、オープンイノベーション推進者が最も時間を割く重要な役割、オープンイノベーションプロジェクトの「実践の支援」についてお話します。