「オープンイノベーション」とは何か

ここ数年、「オープンイノベーション」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。

世界的に見ても、日本は少し遅れをとっている分野であり、今、この流れに乗り遅れまいと、各社こぞってオープンイノベーション推進室を立ち上げて尽力しているという状況です。通常の研究開発とは何が違うのか、分かりやすく説明していきたいと思います。
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ブームとしての「オープンイノベーション」

日本に先立ち、全社的にオープンイノベーションへと舵を切った米国P&G社、蘭国フィリップス社、米国GE社、韓国サムスン社などの成功を見て、日本でも各社こぞってオープンイノベーション推進室を立ち上げ、この流れに乗り遅れまいと尽力しているのが昨今の状況です。

慎重な日本企業ですら、大手メーカーに限って言えば、もはや「レイトマジョリティ・ステージ」へと入っているのではないかと思われます。

ところで、「オープンイノベーション」とは一体なんなのでしょうか?この質問を周囲に投げかけたところ、「何それ?」「普通のイノベーションとの違いは何?」「外から何か持って来るイメージ?」といった回答が戻ってきました。つまり、仕事でオープンイノベーション活動にでも関わっていない限りは、ほとんどの方にとって、馴染みのないものであることは否定できません。ハッキリ言ってしまえば、「よくわからない」というのが、正直なところでしょう。

「オープン」と「イノベーション」という一見わかりやすい単語を組み合わせたものですが、その分かりやすさが、逆にどのようにも解釈できる状況を生み出してしまい、結果、分かりにくくしているのかもしれません。しかしながら、昨今のオープンイノベーションブームを、ブームとして終わらせるのではなく、組織に新たな知識をもたらすべく、正しく理解する必要があるのです。

「オープンイノベーション」とは何か

「オープンイノベーション」という言葉を初めて世の中に提唱したのは、UCバークレー校のヘンリー・チェスブロウ教授です。2003年、チェスブロウ教授がハーバード・ビジネス・スクールで教鞭をとっていた際に出版した「Open Innovation: The New Imperative for Creating And Profiting from Technology」という著書の中で以下のように主張しています。

“ビジネスを取り巻く環境は変化している。イノベーションのプロセスもクローズドからオープンに変わらなければならない。”

書籍のタイトルでもあったことから、「オープンイノベーション」という言葉は広く世に知られるようになりました。チェスブロウ教授はこの言葉を次のように定義しています。

“the use of purposive inflows and outflows of knowledge to accelerate internal innovation, and expand the markets for external use of innovation, respectively.”

日本語に訳すと、

“企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること”

となります。この定義に従えば、日本国内ですでに行われている、企業間または企業と大学間での共同研究、自由参加型のコンソーシアム、グループ企業内連携などもオープンイノベーションに含まれます。

つまり、オープンイノベーションそのものは全く新しい概念というわけではないのです。しかしながら、これら従来のスタイルは、むしろ特定の業界、企業、個人による特別な活動であり、あらゆる局面で活用しうる手段であるとは認識されていませんでした。

これに対し、オープンイノベーションでは、あらゆるプロジェクトにおいて是々非々で社外組織の活用可能性を検討することになります。事業化や実利を求めるうえで有利だとして、欧米等の先進企業の多くが定常的に活用しているのが「戦略的提携型オープンイノベーション」です。

戦略的提携型オープンイノベーションでは、事業を行いたい企業が明確な目的達成のために必要な技術を持つ組織を見つけ出して、主体的に協業を持ちかけます。2006年の設立以降、ナインシグマ・ジャパンでは140社900件以上のプロジェクトを通して、大手メーカーのオープンイノベーション活動を支援していますが、この戦略的提携型オープンイノベーションこそ、日本企業が取り入れるべきオープンイノベーションであると感じています。

チェスブロウ教授は著書の中でオープンイノベーションには2つの側面があると述べています。1つは「外から中へ(outside in)」の側面、もう1つが「中から外へ(inside out)」の側面です。

戦略的提携型オープンイノベーションも、2つのパターンに分けることができます。

1つは、研究開発に必要とする技術を広く探索する「技術探索(インバウンド)型」オープンイノベーション、そしてもう1つがこれまで築き上げてきた技術を有効利用する「技術提供(アウトバウンド)型」オープンイノベーションです。

この2つの戦略的提携型オープンイノベーションを「武器」として活用することで、研究開発・技術開発を、より巧く、安く、速く、実施していくこと、これがこれからの日本企業には求められているのです。

 

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オープンイノベーション実践者との対談