成果を上げるオープンイノベーションの考え方(4):風土の変革 目標・評価指標の統一

企業であるからには、研究開発・技術開発・製品開発はすべて、売上・利益につながっていく必要があります。

しかし、重要なオープンイノベーションを活用するテーマが次々と出てくる企業の多くは、オープンイノベーション活動を本格的にスタートする最初の2~3年は、トップから現場まで統一された「件数」で成果や進捗を見ることを、経営トップに合意してもらっていることが多いです。
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なぜでしょうか? まずは反面教師として、あまり重要なテーマが出てこない企業で何が起こっているのかを見てから比較するとわかりやすいかもしれません。そのような企業で良く見受けるのが、トップや中間管理層までは、テーマを潜在的な売上・利益で評価している一方で、テーマリーダーには、より積極的な外部活用が求められているパターンです。

トップの期待は会社業績への貢献ですので、売上数千億円規模の会社となると、例えば「5年以内に3桁億円のインパクト」を目標に設定することが少なくありません。しかし、5年以内に3桁億円は容易ではありませんので、トップの意を汲んで「しっかり」評価する中間管理層によって、ほとんどのテーマが不採用となっていきます。
その結果、トップはテーマが出ているのも知らされず「現場は自前主義が強くて」と不満を持ち、一方、テーマリーダーは、「口ばかりで、どうせ予算が下りるわけがない」とモチベーションが下がる事態を招いてしまいます。

市場の変化が激しい今日、最初から5年後に3桁億円が見込めるテーマなど、そうあるわけがありません。十分なテーマがあり、そのうちのいくつかが結果的に成長し、生き残る、という考え方の方がより現実的です。その視点で考えると、テーマを生む側のモチベーションが下がってしまうのは致命的です。

では、良いテーマが多く出てくる企業では、どのように目標・評価指標を設定しているのでしょうか? 例えば今後5年間で100億円規模の新規事業を3つ創出する、といった場合、トップや担当役員は3件の新規事業という件数にコミットします。
しかし5年後に3件の新規事業が生き残って動いているためには、2年後には、例えば10件のパイロットプロジェクトが動いている必要があります。この10件のパイロットの実施は中間管理層の目標となります。 しかし2年後に10件のパイロットプロジェクトが動き出すためには、例えば半年後には50件のフィージビリディー・スタディーが必要になります。これはテーマリーダーがコミットすべき目標となります。
(注:これらの件数は、自社での過去の各フェーズの成功率をもとの考える必要があります。新規事業の成功率50%など、今の時代にあり得ない期待成功率の設定は避ける必要があります)

このように現実的な成功率で、必要な目標件数を設定すると、大抵の企業は、まず、そもそも、フィージビリディー・スタディーの弾が全然足りていないことに気付きます。つまり、自前でできるテーマだけでは全然足りないので、本気でオープンイノベーションに取り込む必要がある、という共通認識を持つことができるのです。

また、トップは「従来の予算の範囲で頑張って新規事業を」といった無茶なことは言えなくなり、2年後の10件のパイロットの予算については、しっかりコミットするようになります。

コミットされた中間管理層は、「現場から良いテーマが出てこないのでパイロットができませんでした」とは言えなくなるので、上がってくるテーマを弾くのではなく、テーマリーダーに指導をし始め、また、オープンイノベーション部門に、テーマを増やすためのサポートをするように指示を出し始めます。

テーマリーダーも、自分たちに課せられた件数目標が、経営トップまでつながっているということが、明確に見えてくるので、がぜん真剣に、「外部を活用してでもより良いテーマを生むための努力をする」ようになるのです。

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